2011年 02月 12日
色焼け |
こないだ、1年ほど前にひのさらさで表替えをさせて頂いたお客様のお宅に訪問して畳の様子を見てきました。
いやー、ひのさらさの本当の真価は時間が経つほど発揮されるのだと改めて思い知りました。
色焼けは1年経つにもかかわらず飴色ではなくまだ若草色といっていい色で、驚くほど均一で美しいのです。
お客様が大切に使って下さっているということもありますが、普段人の出入りする部屋でありながら傷もなく、耐久性も申し分ありません。
ただ、問題があって、あまりに綺麗過ぎてお客様が上を歩くのに緊張することだそうです・・・。
それにしても工芸品と言ってもいいほどの品質なのに表替えで2万円にとても届かないというのは少し安すぎるような気もします。
なんせここ30年で物価の上昇と反比例して価格が上がるどころか下がっているわけですから。
畳表を備後産の麻ダブルにして丹羽裏や棕櫚裏の極上畳床を使い、框を板入れの新調にしても10万円もすることはないでしょう。全て手縫いで作ってやっと届くくらいでしょうか。
襖や建具なら最高級品は何十万円という金額になるんですが、それらと比べるとやはり畳は良いものを比較的手に入れやすい内装材だと言えます。
もっとも、それは生産農家の方々の犠牲の上に成り立った非常に危ういものであるわけで、現在の生産量ではとても難しいはずで、やはりい草の栽培がもっと経済的にも夢を持てる作物になっていかないと厳しいのではないかと思います。
近頃は売値の低迷と和室の減少、国産い草価格の上昇で我々畳屋も疲弊し、後継者がいない店も増えています。
農家だけでなく自分自身のためにも畳の奥深さと魅力を広く世間に伝えていかなければなりません。
by nakaji-tatami
| 2011-02-12 17:11
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